
展覧会「滋養ある水」−なぜコットンを栽培すればするほど、食卓が豊かになるのか−
日程: 2026年8月15日−10月12日
時間: 10:00 -18:00
場所: 山帰来(神奈川県小田原市栄町1-9-13)
ある日、京都の南インド料理店で出会った青年はインドのタミル・ナドゥ州でコットンを栽培して布を作る会社を経営しているといいます。南インド料理に並々ならぬ愛情を持つ彼は、現地の野菜の種類やその栽培の方法まで事細かに説明してくれます。しかし、なぜ彼は布を作っていながら、こんなに農業や野菜や土に詳しいのでしょうか。
コットンは今や私たちの生活に欠かすことができない素材です。主な生産地のアメリカ、中国、インドのなかでも、南インドのタミル・ナドゥ州では肥沃な大地とモンスーンによる降雨を利用して、紀元前からコットンを生産し、他国との交易に使用してきました。ところが1970年代以降、コットンの収穫量を増やすための交配種の使用、遺伝子組み換え種子の導入によって、種子を購入し化学肥料を使わざるを得なくなり、農地の土が劣化していきました。それに追い討ちをかけるように2000年代以降、ファストファッションの工場が建設されたことで水質をはじめとした環境汚染が続きました。
この地域で古くから実践されている農業は虫、鳥、人間、牛、すべての生き物に必要な植物を栽培し、土の栄養を取り戻していくものだったと言います。今、再び注目されている再生型農業は様々な作物を同時に栽培することで、歴史を経て疲弊してしまった土を回復させています。コットンを栽培しながら、そのまわりに雑穀、豆類、米など人間の糧になる作物を植えるため、多種多様な作物を収穫することができるのです。滋養深く、様々な素材が混ざり合って味をなす南インド料理はこのような環境をもとにできていった文化と言えるのではないでしょうか。
この展示は2024年から2025年にかけて、地元で古くから実践されている農法を用いながらコットン栽培を行うOshadi Collectiveの協力のもと、農業と食とものづくりの関係を取材したことがもとになっています。取材には南インド料理専門家、田中はるひさんが同行し、地元の家庭料理を通じて畑の作物との関係を紐解いていきました。そして、このようにして畑と工房とキッチンを行き来して行ったフィールドワークの内容を、帰国後、切り絵作家の伊藤ミサさんに依頼してイメージとして表現してもらい、Oshadi Zine という小冊子にまとめました。また展示では、切り絵の世界観をさらに拡大し、農業に携わる様々な生命への敬意を表した作品を制作しました。
食べることと着ることは、肥沃な土があるからこそ。南インドでの再生型農業の取り組みを、ものづくりと豊かな食文化を通じて探ります。



制作協力
伊藤ミサ
切り絵、影絵作家、絵描き、イラストレーター。徳島県在住。作品展示と影絵上演を軸に、書籍の装画や挿絵、型染めのための型紙制作、ロゴデザインや販促用印刷物などを手掛ける。力づよさと繊細さをあわせもつ作品が高く評価されている。
田中はるひ
南インド料理専門家、ハルヒナスパイスアンドフード主宰。2014年より南インド現地と行き来しながら、家庭から屋台、レストランまでリサーチを行う。京都市内を中心に南インド料理の出店、ケータリング、出張食事会、料理教室の企画運営を行う。




過去の実績
7月1日ー15日 展覧会 誠光社(京都)
7月12日 トークイベント 誠光社 (京都)
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