人のいる風景ー暗闇の「ちづナイト」

奈良文化財研究所景観研究室の鳥取県智頭町への景観調査の最終章。2026年3月末に地域の人々に向けての報告会を行いました。2025年から調査に同行していただいた切り絵作家の伊藤ミサさんに、調査内容とそこから伊藤さんの視点で解釈した林業と共に生きる智頭の人々の暮らしを独自の視点で影絵にしていただきました。影絵のタイトルは「深山へ」。

平日の夜、地域の人々を集めて旧山形小学校で行った報告会。まずは奈良文化財研究所の惠谷さんと武内さんの調査報告からはじまり、夜も更けたころに影絵の準備を行いました。

会場の照明を消すと、圧倒的な暗闇が訪れました。OHPの電源がつくと、幻想的な光と影の世界が現れ、そこには伊藤さんの視点で描かれた、智頭町と森林の営みに関する物語がさまざまな角度から表現されています。この地域にしかない自然の成り立ちと、それに呼応するように育まれていった人々の営みが、工夫を凝らした影絵の場面に凝縮されていました。

「ちづナイト」と名付けられたこのイベントには、惠谷浩子さんを中心に行った地域の歴史や風土、そのなかでの生活に関する聞き取り調査にご協力いただいた方をはじめ、近隣に住む地域住民の皆さんが集まりました。地域の自然環境はもとより、それを生かした人々の暮らしの変遷を影絵という表現を通じて共有することで、過去にも、未来にも、同時に想いを馳せることができるひとときとなっていたのではと感じています。